家庭内別米

日本一とうたわれる「魚沼産コシヒカリ」を食べている。

小千谷で生産農家から新米で購入したものだが、それは2000年の秋のこと。
年々恐ろしくなり手をつけられずにいたが、このたびの財政難によりついに開封したのだ。10年の歳月は残酷にも米にしわを刻み、とぎ汁は黄濁し、炊いたご飯はもっちり感ゼロでしゃもじの上にまとまらずパラパラと落ちていくありさまだ。

炊飯器を開けたとたん、几帳面なツレは何かを察して、我を問い詰めたあげく「これは捨てるべきだ。食べてはいけない」と禁止令を発した。 「最近買った」という虚偽をとがめられて信頼問題にまで発展しかけたが、禁止令はあんまりだ。 もったいないし農家に申し訳ない。 彼自身が食べないのはともかく、私は気にならないので食べる、と栄養学やデンプンの仕組みをでたらめに交えて正々堂々と主張し、「健康を害すのではないか」と心配されながらも承諾してもらった。

さてこの古米、味も臭いもさほどではないがパラパラ感はちょっと扱いにくいので、かつてのタイ米のように炒め飯にして食してみたところ、これが大ヒット! 適当に作ってもべっちゃりせず一粒一粒独立した本格派チャーハンができる。

そんなこんなでツレの不在時を狙ってせっせと炒め飯を食べているものの、さほど減らず道のりは長い。来週からお弁当を炒め飯にしてみようと思うのだが、――― 果たして、冷めてもおいしいか。