なじみの店

多忙の渦にのまれ会社を辞めようと思っていた頃、ランチをしながら、それでもこの店とは離れがたいと思った。疲れた顔をしていますね、とミカンやジャガイモを、さらには仏画バックをくれたこともあった。浪花の沖縄料理屋さんの話。脳も体も疲弊しきるなか…

約100人のブックカバー展

渋谷で開催される「約100人のブックカバー展」に応募した。架空の本屋のブックカバーを展示するという愉快な催しだ。 100人も参加するんだから、審査ありと言えど大丈夫でしょう、とタカをくくっていたら、事前連絡はこないし入選者一覧の中に名前はない。 …

蛇腹の子供たち

アコーディオンの発表会「Les Enfants Du Soufflet--蛇腹の子供たち--」に出る。 一年半ごとの開催だから、例えば職場だったらひと月で終えるであろう名前覚えに、5年もの歳月を費やしたりする。覚えては忘れる。でも演奏とか選曲とかとともにじわじわ覚えた…

宍道湖うさぎ

妹の縁結びにつきあい出雲大社を参ってきた。 おりしも平成の大遷宮の年の「神あり月」直前、神さまご一行を迎えるのにてんてこ舞いなのだろう。出雲の宿泊所はのきなみ満杯だったので、松江市に宿泊した。松江市と言えば島根県立美術館。せんとくんの作者・…

つみきのいえ

伊丹市立美術館の加藤久仁生展に行く。米国アカデミー賞受賞作「つみきのいえ」監督である。0.或る旅人の日記 会場に入ると物悲しいアコーディオンの音色。「或る旅人の日記」というFlashアニメが流れていた。脚長ブタを連れた旅人が空想の国トルタリアを…

還暦エキスポ

イラストレーターの安齋肇さん、よく知らないが、ちゃらんぽらんでちょっと破廉恥なイメージがある。「若いころ、よく安西水丸さんと間違えられて仕事もらってね、そのころ全てのものにオチンチンつける絵かいてたのにさァ」先日のワークショップでの発言で…

初高座

繁昌亭での落語講座も残りひと月。次の中級コースにすすむ人もあれば、仕事やミュージカルなどで予定がつかず無理と言う人も多く、おじさんたちと共に進級前のようなおセンチ感を味わっている。そして修了式の発表会のひのき舞台に立てることになった。やっ…

てぶくろ算

ここ数年、「人生で手に入れた手袋の数」と「失った手袋の数」が、イコールで結ばれていた。だから、指先はいつも冷えていた。 冷えた朝や凍る晩には、冷えて痛んで指先の感覚がなくなる。そういうとき、失った手袋のことを考える。ああ、あれがあったら! …

ヨガ

この半年、ヨガ講師の資格をとるべく、週に一日、洞穴で学んでいる。ポーズはもちろん、インドやヨガの哲学なども。地上の光とは縁遠い日々だった。 そんな地底生活にも春の足音が。修了も近くなってきたのだ。待ち遠しくてウキウキしているが、他の輩は「さ…

お稽古仲間

落語教室も終盤。「くちなし」「兵庫船」を終えて「道具屋」の稽古に入った。 稽古の仲間は10人ほど、女子2:男子2:おじさん6という配分だ。平日昼間に落語を習うような酔狂者がシャバで一体何をしているのか、ずっと気になっていたのだが、稽古後のご飯を…

大阪に金沢をみにいく

金沢出身というと、皆いいねぇと言う。食べ物はおいしいし、街並みは素敵だし、21世紀美術館もよかった、雪の兼六園を見たいとうっとりする。 雪についてはシャブシャブ雪のうっとおしさと、鉛色の空の憂鬱の注釈を付け加えるが、他についてはその通りです、…

遅れてきた、ちりとてブーム

年末にNHK連続テレビ小説『ちりとてちん』DVDを貸してもらい、どっぷりはまった。 『ちりとてちん』は上方落語の噺家を目指す主人公の成長物語なのだが、その成長はともあれ、入門する徒然亭のあれやこれやにいちいち感情移入してしまい、特に渡瀬恒彦演じる…

尻餅

暮れに繁昌亭餅つき大会に行った。桂文枝さんや春之輔さんなどハッピを着た噺家チームが餅をつき、そろいの梅柄の三角巾をかぶったお囃子チームとお茶子チームが餅を丸める。餅のつき方がどうだとか、お茶子チームが若くてお囃子チームが引け目を感じるとか…

食べたいものリスト

だんなはんがA型の急性肝炎で入院した。発熱してから5日目、あまりにしんどいので総合病院で血液検査した結果、肝臓にまつわる全ての数値が医師がびびるほどの値であったため、即入院となった。たとえば、肝細胞の破壊の度合いが分かる逸脱酵素GOT値が7800(…

落語ことはじめ

坊さんがお説教をわかりやすくするため、笑いをちょいと盛りこんだのが落語のはじまりだそう。ところは京都の誓願寺、坊さんは「策伝(さくでん)上人」。策伝忌に行われる落語奉納会はプロの噺家がくるのに無料と聞きつけ、7日さっそく京都へかけつける。 …

14日間十勝ステイ

十勝・中札内村にしばし滞在した。 農場バイトでも、とヤムヤムのつてで小畑農園でお手伝いさせてもらう。 小畑農園は自然栽培をしていて、雑草も虫も作物も仲良くしているそうな。ときくと理想郷のようだが、実際の見た目は、草がぼうぼう「荒れ地」のよう…

地獄めぐり

幼な子のしつけに便利らしく地獄絵本が売れているようだが、わたしは幼き頃より地獄がすきであった。 三途の川、剣の山、釜ゆで…あちらの世界の異文化にうっとり。絵巻に登場する餓鬼もたまらぬフォルム。別府や熱海に地獄があると聞いては、いつか物見遊山…

町家でヤムヤム展示会

結婚披露宴でお子様ランドをつくってくれた、旅一家ヤムヤムが京都の町家で展示会をするというので、最終日に京都・岡崎にやってきた。 会場となった町家ギャラリー「メトロポリタン福寿創」はかつてはゲストハウスで、私の友人の友人が経営していることから…

第三の男

かとうかなこ教室のアコーディオン発表会で「第三の男」を弾いた。 ヱビスの曲として有名なこの曲、ここ1週間は毎日何十回も弾いて、なかば嫌いになりかけて、本番では走りすぎたけど、楽しく弾ききった。打ち上げでは、隣に座った中学一年生の生徒さんに競…

桂三枝改め文枝襲名披露公演

文枝さんの襲名披露に2日連続で繁昌亭へ。じっと座っているのは苦手だけど、繁昌亭は高座が近いため噺家の表情やシグサがよく見えていい。 特に2日目千秋楽は、聞きたかった名作古典から三枝さんお家芸の創作落語まで、てんこ盛りだった。桂阿か枝 「子ほめ…

コクゾウムシ

さくらももこ著『もものかんづめ』に、一口当たり4-5匹のコクゾウムシがいる炊き込みご飯を食べる羽目になった話があったが、あれから20年、それが他人事ではなくなってしまった。義父からもらった米にコクゾウムシが大量発生している。 はじめ1合につき3匹…

ふみの日

文月のふみの日に暑中見舞をかいてみる。紙代わりに用いるのは郵便局の木としておなじみ「タラヨウ」の葉。この葉の裏に傷をつけると黒く変色するので、戦国時代に文を書いて情報のやりとりをしたとか、葉書の語源になったとか。 1.タラヨウの葉を採取。クモ…

さくらんぼ貴族

毎年、父の日の贈り物は、母の日とセットでさくらんぼ。山形の農家の友人カタギリにお願いしている。 紅がかった色もぷっくりした形もかわいいし、口に入れれば、あな!酸いい甘さがたまらない。会社でもほんのすこし配ったら、「こんな素晴らしくおいしいも…

落ち葉の季節

春は落ち葉の季節だそうだ。花や若葉の狂喜乱舞で目立たないが、確かに落葉が多数つもっている。 庭師がきれいにしても、1時間のうちにまたつもってしまうほどだ。これは常緑樹の古い葉。冬の間も落ちなかった葉っぱだが、春になって若葉が出ずると、「後は…

京都に桜を見に行く。 KDDIの工事予定日だったのだが、花見ごろに室内で工事を見るなんて無粋すぎて泣けてくるねぇオーイオイ、とキャンセルした。最近落語づいているせいか人間の業をじゃんじゃん肯定している。賀茂川の桜は、さくらさくら、ふわふわ天国の…

イビキを止めるの術

旦那はんが筋トレをはじめてから、毎晩のイビキがぴたりとやんだ。 最近肥えてきた旦那はん、なるほど、イビキは豚化の第一歩であったか。あやうかった。 かつて日々の轟音イビキに慣れなかった頃、よく「イビキを止めるの術」を使ったものだ。 よくイビキが…

ハの字の呪縛

週末に白馬・八方尾根に春スキーに行ってきた。 スキー歴も30年となりそれなりに楽しめるもののボーゲン止まりの我と、成人後ソルトレイクで華々しいスキーデビューを飾ったものの基本がわからない夫。二人でスキー初級教室にすがることにした。いやはや、教…

節分

鴨川ホルモーを読んで吉田神社熱が高まったので、節分会の鬼やらいを見に行ってきた。しばれる寒さの境内に人がわんさかわんさか。特に鬼が暴れているあたりは人口密度が高く、ダウンジャケットのモコモコおしくら饅頭のなかで、大人は何も見えずにいらつき…

記録魔術

ウメサオタダオ展が本になっていた。 記録魔ウメサオタダオの膨大なメモを陳列したこの展覧会で 「はっけんカード」(京大型カード)に感想を書くコーナーがあったのだが、そのはっけんカードがドーンと掲載されている。 展示会来場者をしてウメサオタダオを…

アコーディオン新年会

ボタンアコーディオン教室の新年会兼プチ発表会があった。 大阪のダイニングバー貸切で、食事しながら くじ引きで順々に演奏するという優雅な催しだった。酒を飲みながら生演奏がきけるなんて貴族のパーティである。私が弾いたのは「荒城の月」。おととし11…