尻餅

暮れに繁昌亭餅つき大会に行った。

桂文枝さんや春之輔さんなどハッピを着た噺家チームが餅をつき、そろいの梅柄の三角巾をかぶったお囃子チームとお茶子チームが餅を丸める。餅のつき方がどうだとか、お茶子チームが若くてお囃子チームが引け目を感じるとか、しょうもないことをわぁわぁ言うてる様子は落語のよう。あんこやらきなこやら3つほどいただき、素敵な一年のしめくくりになった。

『尻餅』という落語のなかに「ちんつき屋」という職業が登場する。臼・杵・人力付の餅つきサービスで、来てもらう家はもち米だけ用意しておけばいいそうな。近所へ見栄を張るため、ちんつき屋を呼んだように見せかけて尻をたたき餅つきのまねごとをしたという噺の内容はともかく、家でぺったんぺったん餅をつくのは、年を越せる喜びにみちみちていてめでたい。
この噺と餅つき大会の余韻で、ちんつき屋に憧れる。人力が足りず退院後の夫をスカウトするも断られてしまった。ならばミニ臼セットはちょいと高いし、せいぜい白玉でも丸めるか。なんらめでたくもない日常…小さなことからコツコツと。