大阪に金沢をみにいく

金沢出身というと、皆いいねぇと言う。食べ物はおいしいし、街並みは素敵だし、21世紀美術館もよかった、雪の兼六園を見たいとうっとりする。
雪についてはシャブシャブ雪のうっとおしさと、鉛色の空の憂鬱の注釈を付け加えるが、他についてはその通りです、と頷いている。しかし、それは知ったかぶりやったわー、ということがわかった。大阪の阪急百貨店で開催中の「旨し美し 金沢・加賀・能登展」にて。

[:W300]阪急電車の中吊広告の「てるてる」があまりにもかわいらしかったので足を運んだ金沢展。
四十萬谷本舗のかぶら寿司、圓八のあんころ、中田屋のきんつば、俵屋のじろ飴…はいはい、おいしいけど、こんな並ぶなんて気の毒やね 大阪人よ、と食べ物については金沢代表気分でいられたのだが、伝統工芸コーナーでギャフンと言わしめられる。
伝統工芸は既に完成されたどっしりしたものというイメージだったのだが、なんだかちまちましたものが沢山あって、心をわしづかみにされた。瓢箪型の九谷焼も、桐工芸の「てるてる」も、なんともかわいらしい。
しかも、来るきっかけとなった「てるてる」は、小中の同級生の赤池佳江子さんがイラスト担当者だったので、それはそれはたまげた。あのこ、絵が好きだったっけと思い返しても記憶は遠い。伝統工芸界に同世代が。

その後コロッセウムのようなところで休憩していたら、人がたくさん集まってきて、突如「御陣乗太鼓」がはじまったので、またもやたまげた。ははん、あれか、と高みの見物をするつもりが、面をかぶった恐ろしい男衆の太鼓を目前にして動くことができない。海藻でつくった髪の毛がぬらぬらとすごい迫力だった。まさか大阪で初めて生で見るとは。

コンパクトに金沢(石川)を見物できる「旨し美し 金沢・加賀・能登展」は29日まで、新しくなった阪急百貨店にて。雪はないけれど、よかったらどうぞ。