コクゾウムシ

さくらももこ著『もものかんづめ』に、一口当たり4-5匹のコクゾウムシがいる炊き込みご飯を食べる羽目になった話があったが、あれから20年、それが他人事ではなくなってしまった。

義父からもらった米にコクゾウムシが大量発生している。
はじめ1合につき3匹ほどだったのが、この気候が合ったのか、1週間後には10匹/合、10日後には20匹/合というペースで栄華を誇り、米をとぐ時のつまみだす労力と憂鬱は増すばかりだ。
虫を追う。すくう。水に入れる。追う。すくう。入れる。追う。すくう。入れる。水のなかでもがく虫たちが集合体をつくるのを見てぞっとする。追う。すくう。入れる。
10年ビンテージ米に容赦なく見切りをつけた夫氏も、はじめは「虫はおいしい米につく」と呪詛めいたことを唱えながら、スプーンで虫すくいに応戦していたが、早々に合理性などを訴えてさじを投げた。
しかい彼を責めてはいけない。コクゾウムシというのは米粒のなかに卵を産み、米粒内でウジ虫時代を過ごすため、なんとか成虫を駆除しても、米粒内に隠れていたウジ虫がどんどん成虫になる。ぞっとするしやるせない。江戸川乱歩を地で行く昆虫界、降参してもしかたあるまいよ。

その一方で私はコクゾウムシに愛着がわいてきてしまった。どんくさいし、ゾウのような長い鼻はチャーミングだ。そこで生態を観察した結果、なんとかやっとこ駆除に成功した。ネット界にあまりなかったので、その方法を以下にまとめる。<コクゾウムシの駆除方法>
1.米を屋外で広げる。
コクゾウムシは明るいところが苦手なので、隠れるところをさがして大方は去ってしまう。それはそれは、ぞっとする風景でした。
2.残った虫をつまみ出しながら米をビニル袋に入れていく。
3.米の入ったビニル袋を乾燥しないよう口をしばって冷凍庫に入れる。
コクゾウムシは冷凍庫で死ぬので、これ以上増えることはない。
4.米をとぐ時、水に浮く米粒にはウジ虫が入っていることが多いので、捨てる。
食べても害がないらしいので、ウジ虫米が気にならないならこの手順は不要。