新居を決める

…むか〜しむかし、神戸村は海の水害がよぅけあってな、そんな難を逃れるためお金持ちはどんどん山に居を構えたそうな、それで今も神戸の山手は高級住宅街なんじゃよ…

不動産屋の語る昔話を理解できても、なお神戸の街の坂の上への執念には驚かされる。山と海のわずかなすきまに家がびっしり、さらに山の上にも余白なくぎゅうぎゅう詰めで、家色の山がどーんとそびえているのには参ってしまう。
新居を探すにあたって大阪〜神戸間の緑のあるところがよかったのだが、賃料も高いし山手は恐ろしく急坂で、自転車で坂から転げ落ちて流れ弾にあたりそうな予感がしたのでとりやめた。

そんなこんなで決めたのが山を越えた神戸市北区。緑も多いし、神戸市でありながらヘソ・三ノ宮へのアクセスがやや不便(たびたび脱線するという鉄道とベラボーに高い鉄道の二者択一)なためか賃料も安くて田舎のおおらかさがある。自転車でどこでも行ける京都に比べると格段に不便だけど、こんどは自転車で牧場に行けるな―。

「最寄駅は山の街駅、目印はやきもち地蔵」という牧歌的な案内を、ニヤニヤせず自然にできるようになるころ、どうぞ遊びにお越しくださいませ。