群れなす

3年前に仕事でひとり別府に行ったことがある。
有休をとって平日に地獄めぐりツアーバスに乗ったら客は私ひとり…1対1でガイドさんから耳をそらさずに聞いた説明は忘却の彼方だが、色とりどりの温泉が湧いて煙る風景には地球の不思議を感じて胸を熱くしたことを覚えている。夜はひとり別府湾を散歩していたら、10頭位のイルカの群れに遭遇した。いつも散歩しているというおばちゃんに「十年散歩しているけどイルカなんて初めて見た。あんたラッキーだね」と幸福刻印を押されてまんざらでもなく、この地になんだか縁を感じていた。


そして今週末ツレご家族へ結婚の挨拶のために、ふたり別府へ上陸した。
ホテルのプールやら温泉やらで一族とご対面、いきなり裸の付き合いは無理がありすぎたけど、温かく迎えられまぁ気楽だったかな(ありがたい)。妙な脳内物質が出たのか、泳ぎまくってでんぐり返しと平泳ぎを習得し、ウォータースライダーを20回以上滑ったけど、全然疲れなかった。ツレ父が「子供が疲れ知らずなのは気持ちの問題だ。大人は次の行動を考えるからセーブしてしまう」と言っていた。そう、私は何ごとも決めなくてよかった。水にたゆたうような不思議な居心地だ。群れの真ん中で。みんな、こういう風に家族になったのかしら、不思議不思議。