わが家

4か月ぶりに帰省した。気になるのは、昨年末に骨折した母と今年初めに誕生した赤子の行方だ。

母は体力回復にともない心も元気になり、大学に通う・IT革命を遂げるなど進化していた。退院した頃は「眠れない」「治るのか」「話し相手がいない」「夫が風呂場で水死したらどうしよう」など現在過去未来大小のうす暗い考えに支配されていたので、大きな変化だ。
自信と暦を見失わないように与えたマイブックをひも解くと、こちらにも変化が。終日畑にいて話相手になってくれない父にプンスカ・グチグチしていたのに、今では畑の恵みと父に感謝しているではないか。父が育てた野菜を母が調理する、幸福の食卓が復活していたので、私も安心して生意気で気ままな娘になり下がれるというもんだ。

畑とともに我が家の中心に鎮座していたのは姉の赤子姫。カワイイカワイイとお祭り騒ぎは冷めやらず、赤子様が笑うことが最上の喜びのようだ。私も祭に参加し、アクロバティックにあやして一足早く二足歩行を経験させ、赤子様から笑顔とオタケビを頂戴した。
そんな赤子様が恐れているのは寝ること。赤子が寝入りばなにぐずるのは「このまま死ぬのではなかろうか…」という恐怖に陥るからという内田春菊の説があるが、毎度毎度死の恐怖とは、赤子も姉もタフすぎる。赤子様は大いに太り、姉は大いに痩せていた。


両家顔合わせもあったのだけど、ここまでくると当人がポカンとしていても事は進む。料亭や兼六園の舞台袖で演者を見守っていたら友好的にめでたく閉幕していた。招待状も大安吉日に投函したし、墓参りでは苔を徹底的に除去したし、無事に夏休みが終わった。