最後の晩餐

最後に食べたいものは何ですか? という聞き取り調査で浮上した「ボンヌシエール」という仏風レストランに行ってきた。神戸に遊びに来たツレの両親と母の日に。
久々のご対面で、母の日で、そこそこおいしくなくてはヨメ株も雰囲気も微妙になるだろう中、紹介者の味覚センスは未知だったのにそこを選んだのは、死ぬ前の食事に選んだのだから間違いなかろう、の一念だ。

外観はファミレスのようだったけど、なかはこぢんまり落ち着いてシンプルな雰囲気。そして料理は、付出から前菜、スープ、魚、肉、デザートまで、一皿ずつ丁寧に作られていて、また味は和食のようにまろやかでもあり、とてもおいしかった。翌日に親知らずを抜いたので真に「最後の晩餐」となったのだが、この内容なら悔いはない。

素敵なレストランで唯一奇妙だったのは、水差。『雄鶏嘔吐型水差』とでもいうのか、陶磁器の鶏型のいかにも欧州といった水差しなのだが、水が雄鶏の口からドボーと出てくる。コケーオエーと鳴声が聞こえてきそうだし、鳥インフルのときとか抵抗ないのだろうか。変なものを発見してニヤリとする私に反し、皆が口々にそれを絶賛し、お店の方もそれを持つとき何割増しかで誇らしげになっていて、平衡感覚が狂った。(店には大小5体(羽)ものそれが飾ってあった)