荒々しいむち打ち男

おおかみと七ひきのこやぎ (世界傑作絵本シリーズ)もう終わってしまったが、伊丹市立美術館に「フェリックス・ホフマン展 〜うつくしい絵本の贈りもの〜」をみにいってきた。(どこでも自転車で行ける喜びよ。引越して良かった)

「絵本の贈りもの」という副題は、ホフマン氏が病床の我が子にグリム童話の絵本を描いてプレゼントしたことから。それをきっかけに絵本作家になったそうで、解説もチケットも荷札の形をしていた。
そんなわけで病気しなかった長女はなかなか絵本を贈ってもらえずヤキモキしたとか、孫に贈られた『くまおとこ』は野蛮すぎて出版化できなかったエピソードもあり、なんだかいい。

展示されていたなかでも、子どもへの手紙がとても素敵だった。こまごま小さな絵が添えられていて、もらったら嬉しいし楽しかろう。まぁ後生大事にされすぎて、こんな異国の大衆の目にさらされた上にポストカード化されるとは当人からしたらおちおち成仏できないレベルの恥ずかしさではないかとも案ずるが。

展示の後半に「スイスの伝説」の挿絵も一挙展示されていたのだが、そのタイトルがすごかった。
『小僧がヨーデルをどうならったか』『玉ころがしをしている大男たち』『鳩男』『足の悪い牛』『親方は魔女』『荒々しいむち打ち男』『どこにもぶつからずに上から外へ!』
それまでは家族のぬくもりが糖衣となってグリムの不穏さをおおっていたが、ここでお手上げ。民話らしい破天荒さを考慮しても度がすぎる。スイス伝説…